教室へ足を踏み入れると、すでに登校していた真司と鉢合わせした。


昨日、好きだと告白されたことを瞬時に思い出してしまって、私は自分でも恥ずかしくなるくらい顔が赤くなってしまった。


「お、おはよ」


挨拶をする真司の声が裏返る。


「おはよう」


私もどうにか返事を返した。
でもそれだけで精一杯だった。


ボーッとその場に立っていたら、真司のイラついている声が後ろから聞こえて思わず振り向く。


「おい、何見てんだよ」


「別に〜」


真司が文句を言っていたのは菊ちゃんだった。


菊ちゃんは真司をからかうようにあしらって、ニヤニヤと私たちを見るのだった。


すべて知っている菊ちゃんからすれば、私たち2人のこのやりとりが楽しくてたまらないのだろう。