真司とデートをした翌日。


月曜日なので早速顔を合わせることになる。


いつも通りにする、と真司はそう言ってくれていたから、私もそのようにしようと決めた。


朝、駅で待ち合わせをして一緒に登校している菊ちゃんに


「昨日はどうだったの?」


と、尋ねられた。


「楽しかったんだ、すごく」


私は菊ちゃんには嘘はつけなくて、自分が本当に思ったことを口にした。


「好きな人じゃないのに楽しかったなんて、変だよね」


「なんで?普通のことじゃん」


意外そうな声を上げた菊ちゃん。


まさかそんなことを言ってくれるなんて思っていなかったから、私は少し驚いて彼女を見つめた。


「むしろ真司の良いところ見つかって良かったね」


菊ちゃんはニッコリ笑って私を見ていた。


彼女の目は私をなんでも理解してくれている感じがして、とても安心した。


「今日の午後、美術の授業だね」


思い出したように菊ちゃんはそう言って、私の肩に手を回した。


「もうこの際、目が合うまでずーっと見てたらいいんだよ!で、目が合ったら笑ってみな」


「え、でも、そんなことして困らせないかなぁ」


「いいのいいの、困らせちゃえ」


大笑いしながら話してくれる菊ちゃんに、私はなんとなく救われた気がした。