ここでもし、私が真司と同じ立場だったとして。


芦屋先生に突き放されるようなことを言われてしまったら立ち直れない。


好きな人に拒絶されることほど、悲しくて苦しいことは無い。


真司のことを傷つけたくなくて、私は小さくうなずいた。


彼はホッとしたように笑みを浮かべると「良かった」と胸をなでおろした。


「明日、学校ではいつも通りにするからさ」


「うん……ありがとう」


私がそう言うと、真司は首を振って笑顔を向けてくれた。












申し訳ない気持ちと、嬉しい気持ちと、切ない気持ち。


色々な感情が混ざり合って、私の心の中へ流れ込んでくる。


こんな気持ち初めてだ。


帰りの電車の中で、私は1人自分の手のひらを見つめた。


今日、真司の手とずっと繋いでいた私の手。


その手のひらを、ギュッと握りしめた。