「ね、ね、私の話、早速聞いてもらってもいい?」


菊ちゃんが話したくてウズウズしているような楽しげな表情を浮かべる。


よっぽど何かいいことがあったらしい。


「何かあったの?」


私が尋ねると、菊ちゃんは「実はね」と話し出した。


「一昨日の大会の日、優勝したあとに告白されたの」


「えっ!?」


突然のことに私はびっくりして、目を見開いてしまった。


「すごーーーい!だ、誰に!?」


大会は高校の弓道の大会ではあったけれど、女子のみの参加だった。


来ていたとすれば保護者とか友達とかそれくらいだったと思う。


「えっとね、試合を見に来てた他校の男の子なんだけど、今までも何度か試合を見に来てて、毎回私のことが気になってくれてたみたいで」


菊ちゃんの話を聞きながら、私はなんだか心が踊ってしまった。


一目惚れみたいなことなのだろうか。


やっぱり菊ちゃんって、人を惹きつける力があるんだなぁと実感する。