でも、菊ちゃんに何をどう話したらいいのだろう。
菊ちゃんに話せないことの方が多いのかもしれない。
私が芦屋先生に車で家まで送ってもらったこととか、徳山先生が澪と付き合っていることとか。
とりあえず真司のことは相談したいと思った。
美術室にはまだ芦屋先生は来ておらず、クラスメイトたちが好きなように自由に着席している。
私と菊ちゃんも適当に空いている席に座って、授業の開始を待った。
金曜日、ここで芦屋先生とした会話を思い出す。
彼女はいますか?
好きな人はいますか?
今思うとすごいことを聞いてしまったと思う。
もはや、私は先生に好意を持っていますと堂々と宣言しているようなものだ。
そんな自分を芦屋先生はどう思っただろう。



