選手が矢を射るたびに、私は自分の高校が有利になるよう祈った。


祈りが届くようにうちの学校はどんどん勝ち進んでいったけれど、準決勝でいつも負けている高校と当たってしまい、結局大差で敗けてしまった。


敗けても、泣いている部員はいなかった。
どちらかというと悔しそうな顔をしていた。


私があの場にいたらどうなっていたかは想像もできなかった。


「仕方ないよね、これで引退ってわけじゃないしね」


菊ちゃんのお母さんはそう言って大会プログラムを確認するように目を通す。


きっと、菊ちゃんの出番が気になるのだ。


団体戦が終わるとすぐに、菊ちゃんは応援席から選手席に移動していった。


とても真剣な、集中している顔だった。