美術室から出て校舎で靴を履き替えて、学校を出るまでの間、私は先生との会話をぐるぐる思い返していた。


芦屋先生の気になる人が、どうか私の知らない人でありますように、と祈った。


少しは先生の印象に残ったかな。


私のちっぽけな勇気。


自分を変えられることは出来たと思う。


芦屋先生はとても困っている表情をしていた。


困らせてごめんなさい、と胸が苦しくなる。


決して交わることがない私と芦屋先生の平行線。


今日は少しだけでも、その平行線の距離を縮めることは出来ただろうか。








私はゆっくり少しずつ、前を向いて歩き出せた気がした。