澪が言っている意味が分からず、私は首をかしげた。
答え?
答えが出ているってどういうこと?
「萩も見たくなったんでしょ?芦屋先生のそういう顔。他の誰にも見せない、自分だけに見せてくれる顔」
と、澪は嬉しそうに私に笑いかける。
私の頭は混乱していた。
そして、どうしてなのか分からないけれど、走馬灯のように芦屋先生の色んな表情が頭に浮かんでは消えた。
優しく柔らかく笑う顔とか、心配そうに眉を寄せる顔とか、少し困ったような顔とか。
そして芦屋先生に車で家まで送ってもらったあの日。
あの時に車の中で2人きりになって、悩んでいる私に見せてくれたいつもよりも、もっともっと優しい笑顔。
あの顔が、1番忘れられなかった。
芦屋先生が私だけに見せてくれる顔はどんなものなのだろう。
私は気がついたら目から涙がこぼれていた。



