こころ、ふわり



「あのババァ、ほんと腹立つ」


実行委員会が終わって星先生が教室から出ていった途端、澪が持っていたノートを机に軽く叩きつけた。


「ただの男好きじゃん!絶対あいつ、当日は自分のそばに若い男置いとくよね。ありえないわ」


「ちょっと、澪……声大きい」


まだ教室に残っている生徒や、何人かの先生たちがこちらを見ている。


芦屋先生はすでに教室からいなくなった後だった。


「萩、一緒に駅まで帰ろ」


澪は私にそう言うと、返事も待たずにカバンを持って歩き出す。


とりあえず私は彼女についていくために、急いで机に広げていたノートとペンケースをカバンに詰め込んで追いかけた。


「あ、ごめん。ゆっくり歩くから」


私の足首の怪我を思い出したらしく、澪が歩くスピードを緩めてくれた。


「ありがとう」


私がお礼を言うと、澪はニコッと笑った。