私はこの時すっかり、柔和な彼の笑顔の虜になってしまっていた。


普段の涼しい顔からは、ちょっと想像できないようなほんわかしたホッとするような優しい笑顔。


そして、この胸のモヤモヤ感とフワフワ感。


この時点では、まさか芦屋先生を好きになると思っていなかったから、なんだか胸が苦しいなって思う程度だった。


今まで好きになってきた同級生とか先輩へ抱く好意とは全然違った。


だから、先生のことが好きだなんて自分でもまったく自覚していなかった。