私と芦屋先生のやりとりを静かに聞いていた徳山先生は


「くだらない」


と切り捨てるような言い方をした。


「あとで後悔するくらいなら辞めた方がいい」


この徳山先生の言葉は、私に向けられていると思った。


━━━あとで後悔するくらいなら、芦屋先生のことを好きになるのは辞めた方がいい。


そう言っているように聞こえた。


「可哀相に。芦屋先生ももう少し生徒の気持ちを理解してあげてくださいね。そうじゃないとこの子は自分を責め続けますよ」


徳山先生は今度は芦屋先生にそのように告げると、無表情のままその場から立ち去っていった。


私と芦屋先生の間に、しばらくの間沈黙が訪れる。


その沈黙が怖くなって


「帰ります。さよなら」


と私は芦屋先生に頭を下げた。