こころ、ふわり



ところが、途中で私の足は止まった。


よく見ると芦屋先生が誰かと話していたからだ。


思わず校舎のドアに隠れて、そっと先生の方を伺った。


冷静な自分が頭のどこかで「何を隠れて立ち聞きしてるのか」と自分自身を叱咤している。


芦屋先生がもたれている手すりの後ろに、ちょっと背の低い女子生徒がいたのだ。


髪の毛を茶髪にしていて、どちらかと言えば今どきの雰囲気を持った子だった。


彼女は手にスケッチブックと鉛筆を持っていたので、もしかしたら美術部の生徒かもしれない。


「先生、これ飲んで」


その子が差し出したのは、芦屋先生がいつも休憩の時に飲んでいる缶コーヒー。


先生は最初受け取るのを断っていた。
生徒にごちそうしてもらうのは良くないからと。


それでもなかなか引き下がらない彼女の押しの強さに負けて、結局缶コーヒーを受け取ったのが見えた。