「お風呂でのぼせたの?」

「ううん。どうして?」

「だって、顔が赤いし、ボーッとして、ため息ばかりついてるから、どうかしたのかなと思ったの」

「ふ〜ん、だからお兄ちゃんは『疲れてるみたい』って言ったのか…」

「疲れてるの?」

「ん…分かんない」

疲れてるのかもしれないけど、それだけじゃない気がする。
自分でもどうしちゃったのか、よく分からなかった。

「もしかして、今日も水嶋君と一緒に帰ったの?」

お母さんの口から『水嶋』という名前が出た瞬間、私の心臓がドキンと跳ねた。