「加奈ちゃん、打ちにくかったでしょ? ごめんね」

ハイタッチしながらそう言うと、「大丈夫だよ。ナイストス」と加奈ちゃんは言ってくれた。

須藤先輩が前衛の時、先輩の耳元で「一人時間差、行きますか?」と聞いたら、先輩は「上げられるの?」と言って目を丸くしていた。

そしてサーブレシーブが綺麗に返ったので、私は水嶋先輩との練習を思い出しながら、フワッとしたトスを上げた。

すると須藤先輩は水嶋先輩がしたのと同じようにいったん踏み切ってキャンセルし、もう一度踏み切ってジャンプした。

相手のブロックは完全に最初のタイミングで跳んでしまい、須藤先輩がジャンプした時には実質ノーブロックとなり、鋭いスパイクが鋭角に決まった。

ハイタッチの後、須藤先輩は「やるわね」と言って私の頭をくしゃくしゃっとした。