意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜

「え?」

水嶋先輩の言葉に、私は思わず足を止めていた。

今のは私の聞き違い?
水嶋先輩が私を好き、だなんて有り得ない…

「な〜んてな。驚いたか?」

「もう…当たり前じゃないですか!?」

何だ、ただの冗談か…。それにしてもびっくりしたなあ。

私はまた歩き出した。先輩の言葉が冗談と分かり、ホッとすると同時に、なぜか胸がズキンと痛んだ。


「セッターってさ、孤独だよな?」

「え?」

「よくは分からないけど、セッターってあまり教えてもらえないだろ?」

「それは、まあ…」

確かに先輩の言う通りだ。正セッターになれば監督やコーチが指導してくれるが、チームメイトから教わる事はまずない。

こんなトスを上げてほしいとか、今のトスは打ちにくかったとか、注文や文句は言われるけど。