「そんな事で大丈夫なのか? 試合中は、もっと大勢の観客が見るんだぜ」

確かにそうだと私は思った。

「観客はこんな近くに来ないわ」

あ、それもそうだ。

「それに、あんたは特別なの」

「俺が特別? 意味分かんねえよ」

「まったく…もっと自覚しなさいよ。とにかく、こっちを見るのはやめて」

「スパイク練習が終わったらやめるから。それぐらいはいいだろ?」

「ん…分かった」


それにしても、水嶋先輩は何してるんだろう…

「ねえ、加奈ちゃん。もしかして、水嶋先輩は加奈ちゃんを見てるのかもね?」

私は加奈ちゃんに近付き、小声で囁いた。

「え? そんなはずないじゃん!」

加奈ちゃん、顔が真っ赤。ますます緊張させちゃったかな。