「少し書き込んであるから、見ておけ」

「へ?」

私は訳が分からず、変な声を出していた。

「それと、今日も部活の後、体育館に一人で残ってろ」

「え?」

「着替えずに、一人でだ」

「ど、どうしてですか?」

水嶋先輩は私の質問には答えず、『じゃあな』と言ってさっさと教室を出て行ってしまった。


その後、私はたくさんの女子と少しの男子から、入れ代わり立ち代わり質問攻めに合って大変だった。

それに対して私は、落としたノートを水嶋先輩が拾ってくれて、それを教室まで届けてくれただけ、という説明をひたすら繰り返した。

「『イライラ王子』って意外と優しいんだね…」

「王子をあんな間近で見たの初めて!」

「私もわざと落とし物して、王子に拾ってもらおうかなあ…」

などなど、みんな色んな事を言っていた。