意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜

「恵…」

「先輩…」

私は人目もはばからず、水嶋先輩の胸に飛び込んだ。

汗の臭いと、わずかな香水の臭いに包まれ、気が遠くなりそうだった。

「まさか、こんな結末になるなんて、思ってもみなかったですね?」

「いや、計算通りだ」

え?

私は思わず水嶋先輩を見上げた。

「先輩、いま『計算通り』って言いましたか?」

「黙ってた方が、良かったかなあ…」

「どういう事ですか? 話してください」

「ああ。実は俺にも妹がいるんだ。しかも恵と同い年の」

「そうだったんですか? それで?」

「だから、俺には恵の兄貴の気持ちが、手に取るように分かった」