意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜

「先輩…」

「恵…」

立ち止まった水嶋先輩が、かがんで顔を近付けて来る。

私は上を向いて、目をつぶり…って、こんな往来でダメでしょ。

「ダメよ、こんな所じゃ」

私は顔を逸らしながら言った。

「部屋だったらな…」

「あ、CD聴けなかったね。どうしようか?」

「それはもういい。ただの口実だから」

えっ?
じゃあ、お兄ちゃんの、図星?

「夜道は危ないから、もう帰れ。じゃあな」

先輩は私の肩をポンと叩き、クルッと背を向けて行ってしまった。

「ちょっと、先輩…」

私の声が聞こえたらしく、先輩は私を振り向き…

「心配するな。俺に任せておけ。じゃあな」

と言って手をちょっと挙げ、帰って行った。