意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜

さっき歩いたばかりの道を、私達はまたとぼとぼと歩いている。

「はあー」

私は自然とため息を吐いていた。

「恵、元気出せよ」

「先輩には勝算があるんですか?」

「ない」

「もう…!
だったら、どうして…」

「あ、そうだ。試合の日に、兄貴の飯に下剤を混ぜるとか?」

「あ、それ、いいかも」

「おいおい、今のは冗談だからな。卑怯なまねして勝っても、俺はちっとも嬉しくない」

「私はどんな事をしてでも、先輩に勝ってほしい」

「恵、そんなに俺と付き合いたいか?」

「うん。先輩は違うの?」

「いや、同じだよ。おまえを失うなんて、想像も出来ない」