意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜

「とにかく、通して」

「ダメだ。CDはリビングで聴けばいい」

「リビングじゃ、再生装置ないじゃない」

「俺のデッキを貸してやる」

リビングでお母さんやお兄ちゃんと一緒にCDを聴く光景を想像してみる。

「そんなの嫌。行かせて」

私はお兄ちゃんの横を強引に通り抜けようとしたけど、お兄ちゃんは階段の手摺りをガシッと掴み、通せん坊した。

「ダメだ。そもそも、おまえ達が付き合う事を、俺は許した覚えはない」

「そんなの私の勝手でしょ? お兄ちゃんの許可なんか要らないもん」

お兄ちゃんの腕を押したり引いたりしたけど、びくともしなかった。

「お義兄さん」

その時、今まで黙っていた先輩が、ようやく口を開いた。