意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜

「竹中さんはセッターなのよ。この子の絶妙なトスワークで、ずば抜けたアタッカーのいない中学を、全中まで行かせたって話よ」

「へえ…すごいんだね、竹中さんは」

爽やかで素敵な方の先輩に誉められ、一度はムッとした私だけど、また頬が熱くなるのを感じた。

「問題は高校で通用するかだな。それと、ブロック?」

そう言ったのは、眼中に無かった方の先輩。

う…なんて嫌な奴なんだろう。人が気にしてる事ばっかり言って!

ブロックは私の最大の弱点だった。

私は意地の悪そうな目で見下ろすその先輩を、涙目で睨み返していた。