……四角い白い部屋。

少し草臥れた毛布以外、何も置かれていない。

その部屋の隅で……男の子が泣いていた。

短パンを履き、何故か上半身裸の男の子が、部屋の隅に小さく丸まったまま泣いている。

……小学生だろうか。

まだ幼さの残る少年は瞳からポロポロと涙を流し、声も出さずに肩を震わせていた。

《泣かないで》

どこからか少年にも少女にも聞こえる声が聞こえた。

しかしその声の主の姿は見えない。

《泣かないで》

その声は、泣き続ける少年を宥める様に優しく語りかける。

《……レン》

少年の口が小さく誰かの名を呼んだ。

……レン。

それが声の主の名前だろうか。

《……レン》

もう一度小さく名を呼ぶと、少年は涙を流したままこちらに向かって手を伸ばす。

するとその少年の脇腹に、青い何かが見えた。

……青い蝶。

少年の左脇腹に蝶のタトゥーが彫られている。

《大丈夫》

また声が聞こえた次の瞬間、どこからか小さな手が現れる。

その小さく可愛らしい手は、少年が縋るように伸ばすその手を……そっと握った。

その瞬間、目の前が真っ白になる。