……彼女はもう忘れてしまっているのだろう。 いや……その方がいい。 肺一杯に吸ったタバコの煙をそっと吐き出す。 ……可哀想な子だな、父親だけでなく母親まで…… この先、親戚もいない彼女の行く末を考えると、小さく胸が痛む。 「……近藤」 その呼びかけにいまだ小言を続けていた近藤が小さく首を傾げた。 「絶対に犯人、捕まえるぞ」 その呟きに近藤は少し驚いた様に目を丸くしたが、すぐに大きく頷いて笑みを返した。