『彼』は俺の唯一の『友達』だった。 『彼』はいつも瑞穂が辛い目に遭う前に現れ、そしてその悲しみの全てを『彼』は受け入れていった。 『彼』は瑞穂を守る為だけに存在し、『彼』は瑞穂に気付かれる事無く消えていく。 ……それはとても悲しい事。 あの日から……『彼』に会う事は無かった。 ……『彼』にはもう会えないのかもしれない。 そんな事をただ思ったまま、静かに幸せな時が流れて行った。 しかしそんな穏やかな幸せの時は……薄汚れた愚かな『大人達』のせいで、一瞬にして消え去る事になった。