「何故、近藤と鈴村誠をあの場に呼び出した?」 その問いに彼は涙を流したままそっと顔を上げると、真っ直ぐに俺を見つめた。 「近藤さんは……」 「大分血が出ていたようだが傷は浅かった。命に別状は無い」 「……そう……ですか」 俺のその答えに彼は少し考える様に俯くと、微かに唇を噛み締める。 「近藤は目を覚ましたが……何も言わない。頑なに口を閉ざしていてな……一体何があった?楠綾子もだ……あの子も何も話さない。何故だ?」 俺のその問いに、彼は俯いたまま微かに笑った。