【みんなの笑顔─1】







――!










虫の知らせ…か


外に居る火鳥は、
何かが消えていくのに
気付いた。












「駄目だ!!
いけない!!!

里子ちゃ――ん!!!」











他の者が、
何の騒ぎかと注目すると、
ブラックホールに異変が
起きた。











ピキッ…!










そんな音が
聞こえてきそうな程に、
綺麗な亀裂が縦に走った。











ほんの一瞬の間の後、
闇は音を立てて崩壊した。










パキパキパキ……!!








サアアアアア!!!!









天に伸びる光の柱…

その光はまるで、
天使が空に
登って行くように見えた。











その状景に皆は心奪われ、
ただ見ているしか
いられなかった。











いつの間に合流した
生き残った大勢の霊達も、

口々に「綺麗…」と呟き
眺めるだけだ。











光が天に闇を運びきると、
その輝きは失い、
辺りは平穏が戻った。












何も残らなかった。




里子の影も形も、
そこには残らなかった