「託された願い-16」





「そうか……
姿を見せないと思ったら
既に占領されていたか…

よく伝えてくれた
里子君」







オジサンは
子供をあやす様に、
里子の頭をポンと撫でた。







安らぎを与えている
その手が震えているのを、
里子は気付かないフリを
してあげた。








きっと、
もう絶望的に
為す術が無いことを
示しているが、
それでも最後にしてくれる
優しさに思えたからだ。







「……田中さん。

カー君は?」








「おお、そうだ…

今こっちも大変でね。

敵に襲われて、
戦いの真っ最中なん…

おわっ!!!」







突然の突風に
オジサンは体勢を崩した。








ズザザ~~~~~!!!!








2人の近くに
足を滑らせながら、
体をガードさせた霊が
吹っ飛んできた。








飛んできたのは……



「……ツッ!!

…え?あ?
里子ちゃん??」








それは火鳥であり、
軽く肩で息を切らせながら

里子を見つめた。







「会いたかったよ!!」


ギュ~~~!!


っと…
いつもの彼の性格ならば、
直ぐにでも
飛びついて来るのだが、

どうやら様子が違う。








この争いの跡は、
どうやら火鳥がつけた
ものらしい