霊務3

【初仕事の始まり-3】






歩くこと数十分。

ようやく辿り着いたのは
人気のない
ただの山側の
森林地帯であった。










「ここが、
君の働き場所だ。

夜中になると
この辺りは走り屋が
いっぱいでね。

タチの悪い奴らは
花火とか
みんなで
写真撮ったりするから
それを狙って
写真に写る能力を
使えばいい。

新人にとっては
申し分ない場所だ」










確かに…

雰囲気もどことなく悪く
霊にとったら
好条件が望めそうな
地帯である。









「あ、あの…

私は新人で
レベル1だから、
とにかく写真に写って
怖がらせれば
いいんですか…?」









「そうだよ。
もの分かりがいいね。

ここでしばらく
何ヶ月も脅かしててくれ

まあ…
半年くらいで
レベルが1つ
上がるか上がらない
くらいだからさ」










そんな
長い期間の話を聞かされ

里子は少しビックリした










「半年…ですか」









すると、
オジサンは
更に追い討ちをかける。










「これでも最初の
レベル1から
レベル2に上がるのは
簡単な話だけど、
そこから先は
かなり険しいよ。

私でさえ、
百年近く霊務をしてるが
まだレベル5の
次席クラスだからね」










百年!!!?









その、
気が遠くなりそうな
年月を聞き、
根気がいるもんだと
改めて思い知らされた