【初仕事の始まり-1】






待っていたオジサンは
里子を見つけると
手を振った。









「あ、オーイ里子君。
こっちだこっちだ」








呼ばれるがまま
里子は素直に招かれる。









「ス、スミマセン
田中さん…

遅くなりました」









「いやいや、
全然遅くないよ。

寧ろ早いくらいだ。
もういいのかい?
家族の挨拶は」









オジサンは
里子は死んだばかりで
まだ情も深いと察し、

家から戻るにも
相当時間がかかると
思っていた。









それが、
こんなに早く
帰ってきたから
驚きもんだ。








里子は
オッケーのサインを出し

もう十分である事を
伝えた