「裏切りと札―3」






薄れゆく意識の中、
その言葉は
静かに囁かれた。










「俺は……
四獣霊のこの火鳥は…

お前を殺すために
近付いたのよ!

クックック…
後悔しながら
死ぬがいい」










更に強まる両腕の力。










里子は
高々と持ち上げられ、
未だ信じられない
言葉に対して、
力を落とす。










そんな……


カー君が……










白いモヤの中で、
煙が霞んで、
火鳥の顔が
揺らめいている。










その鼻は、
だんだんと本性を現し、

真っ赤に染まった
真紅の鼻が、
顔を出した。









体は、
とうの昔に滅んだ
平家の衣を纏った
出で立ちをしており、

その足には、
高いゲタが
地面に付かれていた。










(クックック…

絶望に溺れながら
死ぬ姿は、
何度見ても
いいもんだわい!)











そう高揚感に包まれ、
悪魔は微笑みをしていた