霊務3

【霊務-12】





霊は霊でも
怖くない人だ。








そう言えば
忘れていたが、

里子はお化けとか
心霊とかが
死ぬほど苦手である。









そんな恐怖も
覚えさせないくらい、
このオジサンは
安心できる気がする。

(霊としたら、
そう思われるのは
失格だが)









「あの…それで…

人を脅かす仕事って
何をすれば
いいんですか?」









まだまだ新人な里子は
霊界の事を
何一つ知らなかった。









「ゴホン。
じゃあ説明しよう」








オジサンはそう言うと
1から説明を始める。








「いいかい?

まずこの霊界で
働く事を
『霊務』と言う。

霊務は主に
人を驚かせる仕事。

君も生きていた頃は
たまに怖い思いしたら
ゾゾッとしただろ?

あの
ゾゾッとくる感覚が
人間の恐怖エネルギーを
吸っていると言う
意味なんだ」









なる程……


確かに体感ある事だ。










だけれども、
いざ自分が人を
驚かせろと言っても、

どう脅かしたらいいか
全く分からなかった