霊務3

【霊務-11】



………






あの部屋を後にし
今こうして
歩いているが、

後ろからトコトコ
さっきのオジサンが
付いてくる。







「あの~…」







里子が振り向き、
そう言うと…







「な、何!?

ストーカーとでも
言いたいの君?!」






何かに敏感して
変な事を口にしている。







「いえ!
そんな事
思いませんよ!」






すると
そのオジサンは
ポカンとしている。







「へ…?思わないの?」







どっちなのか
よく分からない
オジサン。






ちょっと変わった人かも
しれない。






「それで……

なんで
付いてくるんですか?」







里子の疑問に、

オジサンは
そう言う事かと
自分の手をポンと叩く。








「ああそうか…
説明してなかったね。

私がこれから
君の担当地区を
案内して、
更にお世話係りとなる
監視役だ。

ヨロシクね」







そっか…

急にどこ行くとか
言われても、
自分じゃ分からないか。






有り難みも含め
里子は頭を下げた。







「じゃあこれから
ヨロシクお願いします。

あの…
お名前は…」







「ん。
私の名前は
『田中』だよ。

安易な名前だろう」







「そんな事ないですよ。

じゃあ
田中さん
ヨロシクお願いします」







すると
田中はまたポケッとする







「へ……?

あ……
ああ、ずい分
礼儀正しい子だねえ!

オッサンとか
呼び捨てしないんだね」







「そんな失礼な事
言いませんよ!!」






何かちょっと変わった
オジサンであるが、
悪い人ではない気がした