足に何かがコツンと当たった感覚で意識が戻った。いつの間にか、私は眠っていたみたい。


あれ?


唇に違和感を覚えた。何か、柔らかいものが触れている気がする……


肩にも違和感が……
誰かに抱かれている?
香取さん?


どうしよう……


このまま寝たふりしてても、いいかな……


「パパ〜、あの人たち、チュウしてる!」


不意な男の子の声で、ビクッとして目を開けると、目の前に香取さんの整った顔があった。


「え?」


「あ、ごめん」


「どうして……?」


「君の寝顔を見ていたら、つい……」


“つい”なの?

“君が好きだから”とは、言ってくれないのね?


「もう、しないでください」


「ああ。すまなかった」


気まずい。

私はドキドキする気持ちを抑え込み、必死で平静を装った。


「怒ってる?」


「いいえ、大丈夫です」


「帰ろうか?」


「はい」