素敵すぎる上司

「そこに座ろう?」


ちょうど良い加減に、半分木陰になっているベンチを、香取さんが指差した。


「ああ、気持ちいいなあ」


「そうですね」


香取さんはベンチに座ると、長い手足を目一杯伸ばした。

私は香取さんの隣に、ちょこんと座った。


「こんなにのんびりするのは久しぶりだよ。ありがとうな」


「いえ、私は別に……」


木漏れ日が暖かく降り注ぎ、チュンチュンというスズメの鳴き声と、若い親子の楽しげな会話以外は何も聞こえない。

穏やかを、絵に書いたような風景だ。


「さあ、食べようか? もう腹がペコペコだよ」


「はい」



「これ敷いて?」


私が袋からハンバーガーや飲み物を出していたら、香取さんがポケットからハンカチを出し、広げて私の膝に掛けてくれた。


「すみません」


香取さんって、エッチなところもあるけど、気が利くし、優しい人だな……