その日、定時を過ぎても私は仕事を続けていた。

例の倉庫費用のデータ作成をしていた。


「あれ? 帰らないの、佳奈子?」


帰り支度をしたゆかりちゃんから声を掛けられた。ゆかりちゃんとは方向が逆だから駅までだけど、いつも一緒に帰っていた。


「うん。もう少しやってく」


「ふ〜ん。じゃあ、お先にね」


「お疲れさまー」


ゆかりちゃんは少し怪訝な顔をして帰って行った。怪しまれちゃったかな。


「渡辺さん、ほどほどにね?」


と香取さんから言われ、「はい」と私は答えた。


「俺も今日は早めに上がるつもりだから」