素敵すぎる上司

今日は香取さんが送ってくれて、早く帰れたので、夕ご飯を食べてからバイトに行くことができた。


いつもは食べずに行って、帰ってから夜中に食べている。



深夜になり、コンビニの仕事ももうすぐ上がりという頃、私は外でゴミ出しをしていた。


一台の車が駐車し、ドアが開閉する音が聞こえたが、気にせず私は作業を続けていた。


ゴミ袋の口を縛り、それをよいしょと持ち上げたところで、クラッと目眩がしてよろけてしまった。


転ぶ……と思ったら、背後から誰かに肩を掴まれ、危うく転ばずに済んだ。


「大丈夫かい?」


耳元で囁くような、優しい感じの男の声がした。


「はい、ありがとうございます」


と言いながら振り向くと、そこには全く予期せぬ人が立っていた。


「か、香取さん? どうして……?」


「それはこっちの台詞だよ。俺は会社の帰りだ」


「………」


「ここで働いてるのか?」


「……はい」


「親戚の店を手伝ってるとか?」


「……いいえ」


「じゃあ……、アルバイト?」


「はい、すみません」


香取さんは、困ったような表情で私をジッと見下ろし、私はその視線に堪えきれなくなり、俯いて足元を見た。


「明日、会社で話そう?」


「はい」


「なるべく早く帰って寝なさい」


「はい」


「じゃ」


「お疲れ様でした」


香取さんは、苦い顔をして帰っていった。


私、きっとクビだわ……