一通り見学させてもらい、お茶を頂くとすぐに、「では、そろそろ……」と言って香取さんは立ち上がった。

私も慌てて立ち上がる。


「まだいいじゃないですか? 昼食の予約もしてますから……」


「申し訳ありませんが、他に寄る所がありますので、これで失礼します」


「そうですか? では、これはつまらない物ですが……」


「いえ、お気遣いなく」


鎌田社長が菓子折りみたいな物を香取さんに差し出したが、香取さんは頑なにお断りしていた。


結局はそれを受け取らず、私達は倉庫を後にした。