素敵すぎる上司

拓哉さんは大声で鈴木さんを制止し、檀上へ駆け上がった。


「鈴木君、自分でやるよ」


「あ、はい」


拓哉さんは、鈴木さんからマイクを受け取った。


「先程は不手際があり、申し訳ありませんでした。藤堂家ならびに藤堂家ゆかりの方々には本当にすみませんでした。

さて、改めて私と、私の最愛の女性との婚約を、皆様にご報告したいところですが、またもや不手際がございます。

実は、私達はまだ婚約しておりません」


会場中が一瞬シーンとなり、次にざわめきだした。


「そこで……」


ざわめきが止んだ。


「今、この場で、私はプロポーズします。彼女の答え次第では、パーティはお開きとさせていただきます」


会場からどっと笑いが起こった。プロポーズって、私に?


私が呆然としていると、拓哉さんから『おいで』と、目で呼ばれた。