素敵すぎる上司

それからは、職場がますます気まずくなった。


私は、前の晩に書いたものを、拓哉さんに渡した。


「辞表? どうして?」


「一身上の都合です」


「そうか。一応預かっておく」


拓哉さんは中も見ず、私が書いた辞表を引き出しに仕舞った。


仕事が終わって帰りの支度をしていたら、ゆかりちゃんが傍に寄って来た。


「佳奈子、飲みに行こうよ?」


「え? ん……どうしようかなあ」


「用事あるの?」


「ないけど……」


「じゃ、行こう?」


ゆかりちゃんに、半ば強引に連れて行かれたのは、焼肉屋さんだった。


「なぜ焼肉屋さんなの?」


「ひとつには、あんたに栄養を付けたいから。佳奈子、最近痩せたでしょ?」


「そうかな……」


「もうひとつは、薄暗い飲み屋だと、あんた泣くでしょ?」


「そんな事ないよ」


「ここで泣いても、いいけどね」


「泣かないよ」


「ま、とにかく、いっぱい食べて、飲もうよ。スポンサー付きだし」


「スポンサー?」