「香取さんと喧嘩したの? そう言えば、夕べは香取さん、すぐ帰っちゃったもんな。恐い顔をして……」


やっぱり郁美は、ごまかせないな……


「香取さんとは……別れたのよ」


やだ。悲しくて、また泣きたくなってきた……


「えっ! うそ、何で?」


「香取さんとじゃ釣り合わないし、高校の時の彼氏と、また付き合う事になったから……」


「お姉ちゃんに彼氏なんていたっけ? 誰?」


「いたわよ。佐藤篤君」


「ああ、ほんの少しの間だけだったよね?」


「そうだけど……。あ、郁美。今度こそ本当に遅れるわよ」


「う〜ん、もっと聞きたかったけど、行くわ。でもこれだけは言わせて。香取さんとお姉ちゃんは、私から見たらすっごくお似合いだよ? 絶対やり直すべきだと思う」