素敵すぎる上司

「蘭子さんって、誰?」


「えっと……会社の人」


「ふ〜ん」


拓哉さんの元カノとは言いにくいし、蘭子さんの事は隠した方がいいような気がした。何となくだけど。


「行ってきま〜す」


郁美が学校へ出掛けるとすぐ、私は蘭子さんへ電話をした。どんな用件なのか、気になっていたから。


『今はお一人よね?』


「はい、私以外は誰もいません」


『わたくしと拓哉さんの婚約披露パーティの事は、ご存知かしら?』


「はあ、まあ」


『ところが拓哉さんたら、急に待ってほしい、なんておっしゃるものだから、わたくしはとても困ってますの』


「そうですか……」


蘭子さんは何を言いたいのだろう?


『そこであなたにお願いなんだけど……』


「私に、ですか?」


『そうなの。拓哉さんがわたくしと婚約するように、あなたから説得して戴きたいの』