家に寄って郁美を乗せ、3人で病院へ向かった。


郁美はずっとシクシク泣くので、私は郁美の手をしっかり握ってあげていた。


本当は私も不安で泣き出したかったけど、郁美を励ますためにグッと堪えていた。


病院に着き、夜間診療の入口から入ると、制服を着た警官が二人いた。


「あの……渡辺涼の姉ですが、弟は大丈夫なんでしょうか?」


「ああ、お姉さんですね? 弟さんは今治療中です。命に関わる傷はないようですが、詳しい事は後でお医者さんから聞いてください」


取り敢えずは良かった……

でも、どうして涼は怪我なんかしたのだろう?


「あの、弟はどうして怪我をしたんですか?」


「それがですね、何者かに襲われたようなんです」


「襲われた!?」


「街中で男数人に囲まれ、暴行されたそうです」


「そんな……。どうして、涼がそんな目に?」


「分かりません。しかし目撃者もいますし、犯人はすぐ見つかりますよ。では、私達はこれで。明日、刑事が弟さんに事情聴取に来るはずなので」


そう言って、警官達は帰って行った。