素敵すぎる上司

「着いたよ」


拓哉さんに言われ、私はビクッと肩を揺らした。


「恐がらなくていいよ」


「うん。でも……」


タクシーを降りて、見上げた拓哉さんの実家は、閑静な住宅街にあるものの、あまりにも大きく、私には魔物が棲む屋敷のように不気味に見えた。


拓哉さんの後ろに、隠れるように着いて屋敷の中に入ると、黒いメイド服を着た女の子がペコリと頭を下げていた。


「お帰りなさいませ、お坊ちゃま」


うわあ、本物のメイドさんだ!


「ただいま。元気だったかい?」


「はい、おかげさまで。お坊ちゃまもお元気そうで」


「体は元気だけど、心は参ってるよ」


「まあ、大丈夫ですか?」


「さあ、どうかな。お袋達はいるよね?」


「はい、奥様も旦那様も、お坊ちゃまをお待ちですよ。こちらです」


私達はメイドさんの後に続いた。私が緊張で足が震え、うまく歩けずにいたら、拓哉さんが肩を優しく抱き寄せてくれた。


「俺にぴったりくっついてればいいからな?」


「はい」