〈レンside〉

日本のエージェントルームに頼れば、男の素性も、ともすればもう一人の男についても分かるだろうと思った。
メイにその写真を借りてエージェントルームに電話をした。

最初に電話に出たのは伊達さんで、ハナとミツは個室にいるらしい。

伊達さんの声からは覇気を感じなかった。

おそらく、妊娠中の奥さんに夜の相手をしてもらえないから欲求不満なのだろう。

「伊達さん、安定期に入るまでの辛抱ですよ。そしたら、たまにしてもらえたりするでしょうから。
してもらえないよりは遥かにマシでしょう。

じゃ、アイツらに代わってください。」

『おお、わかった。』

……このやりとりの後で思い出したが、ハナたちは調べることがあるので数日間はエージェントルームに泊まるって言っていたっけ。

調べものだけじゃなくて夜にイチャついてやがるな。
羨ましい。

『レン!久しぶり!元気?』

気分が落ち込んでいるときにハナのテンションの高い声を聞くと、何だか元気が出てくる。

「ちょっと今から写真送る。その写真に写っている男について、調べてくれる?
……ソイツだから。
メイに暴力振るった奴。」

「それから、珠美 由紀ちゃんって子の母親がFBI本部に来たんだ、ついさっき。
ハナ、その由紀ちゃんと中学の同級生だったんだろ?
連絡先とか知ってたら、教えてほしい。

なに、ちょっと聞きたいことと、アドバイスをしたいだけだから。
お願いできる?」

ハナは、由紀に酷いことを言うのではと理由を聞きたがった。
大まかに話すと理解してくれたようで、彼女の連絡先はメールで送ると言ってくれた。
その後に、ミツに電話を代わってくれた。

「オレは何とか元気だから安心しろ。

オレ…ようやく分かったわ。
ハナがレイプされた後……ハナを抱いた、お前の気持ち。
……抱きたくなるな。
今はギリギリなとこでブレーキかけてるけど。
自分でもいつ理性飛ぶか分かんない。
そうなったら優しくしてやれる自信なんて到底ない。」

ミツにそう言ったら……優しすぎるからオレを見習えとか……ハナを抱いたくせに何迷ってんだって……

要は……メイを抱けってこと?

「大事に……してやりたいじゃん?
あんなことがあった後で……少なからず怖いかもだし……」

大事にしてやりたい。
その気持ちはもちろんある。

だが、もしもメイ自身がそうしてほしいと望むなら改めてバージンを奪うつもりで抱いてやりたい。

ミツは、落ち着いたら全部話せって言ってハナに代わった。
オレは、ハナにまた連絡する旨と話を聞いてくれたお礼を本当に一言だけ言って、電話を切った。