「綾乃さん!」

俺は綾乃さんの肩を掴み、俺に向かせようとしたが、綾乃さんは頑なにこっちを向いてくれなかった。

俺は衝動的に窓を全開にし、その縁に飛び乗っていた。

「綾乃さん。そんなに外を見たいなら、僕が外へ行きます。
綾乃さんに僕を見てほしいから、僕はここから飛びます。
死んだって構わない」


「はっ! 里中君! だめよ、私を置いて行っちゃ、いや!」

綾乃さんが突然、俺に抱き着いてきたので、俺は綾乃さんを抱き止めようと手を延ばした。

「綾乃さ…うわっ!」

その瞬間、俺の足元がズルっと滑った。

まるでスローモーションを見ているようだった。

延ばされた綾乃さんの指と、もんどりを打つ俺の指が一瞬だけ触れ、離れていく…

「キャー」

『さようなら、綾乃さん』

俺は真っ逆さま、ではないが、落ちていった………