「ねえ慎君。もう一度やり直そう?」

「それは出来ない」

「私、男を見る目がなかったの。今になって慎君の良さに気付いたの。遅すぎるのは分かってるけど、もう一度私にチャンスをくれない?

慎君好みの女になるから。ね、いいでしょ?」

明美はそう言いながら、ブラウスを脱いでしまった。

「慎君、抱いて。以前のように」

「何言ってるんだ。早く服を着て帰ってくれ。もうすぐ人が来るんだ」

「東山綾乃?」

「え?」

「やっぱり噂は本当だったんだ…」

噂? 俺と綾乃さんが噂に?

「あんな愛想のない年増女のどこがいいのよ?」

「綾乃さんを悪く言うな!」

「ちょうど来たわよ。あの女に見せ付けてやりましょう?」

「え?」

明美は勢いよく俺にのし掛かり、はずみで俺はお膳の角に頭をぶつけ、意識が飛んだ。

その直前、玄関に立ちすくむ綾乃さんの姿が、見えた気がした…