氷の女神

「ごめんなさいね。自分でやろうと思ったんだけど、動くと目眩がしちゃうの」

「まだ熱があるんですよ。体温計って待っててください」

綾乃さんに体温計を渡し、手際よくシーツを交換した。
敷布団まで湿っていたので、シーツの上にタオルケットを敷いた。

「お待たせしました。横になってください」

「ありがとう。ずいぶん手際がいいのね?」

「そうですか? 一人暮らしが長いですからね」

「どなたとも暮らしてないの?」

「ええ、ボロアパートに一人暮らしです。ちなみに彼女はいません」

一年前には半同棲の彼女がいたけどね。

「そう?」

「綾乃さん…」

「あ、ピピっていってる…」

「ああ、計り終わったんですね? 見せてください」

俺は今、綾乃さんに何を言おうとしたんだろうか…