「嫌いなものはあるの?」

「いいえ、僕は綾乃さんの全てが好きです!」

うわ、思わず告っちゃったよ。綾乃さん、どう思ったかなあ。

「食べ物のことよ」

綾乃さんは真っ赤な顔で俯き、もじもじしていた。

あ、そうか。そうだよな、何やってんだろ、俺。

「豚肉と鶏肉がダメです」

他の肉は我慢しよう。

「お魚は食べられるのよね?」

「はい、魚は好きです」

「それなら何とかなるわ」

「迷惑じゃないですか?」

「一つ作るのも、二つ作るのも同じだから…」

「じゃあ、お言葉に甘えて、よろしくお願いします!」

綾乃さんが俺のために料理してくれると思うと、天にも登る嬉しさだった。