氷の女神

自販機でペットボトルのお茶を2本買い、俺は屋上へと向かった。

屋上の扉を静かに開け、自然を装い綾乃さんがいるベンチに向かって歩く。
内心は緊張でドキドキだ。

俺の靴音を聞いた綾乃さんは、俺を見て、目を大きく開いて驚いている。

「誰かと思ったら、主任じゃないですか! 驚いたなあ」

「………」

綾乃さんは膝の上にハンカチを敷き、その上に小さな弁当箱を乗せていた。
随分少食なんだなあ…

「今日は天気がいいから、屋上で食べようと思ったんですが、奇遇ですね!」

「………」

「ここ、座っていいですか?」

「………」

綾乃さんの返事はないけど、綾乃さんと同じベンチに腰を降ろした。充分に距離を開けて。